日治時期には、第二次世界大戦中の連合軍による台湾の空襲に対する防御のため、総督府が台湾で積極的に防空壕の建設を進めたことが重要な要因でした。1937年の中日戦争の開始に伴い、台湾総督府は台湾の防空施設の整備に着手しました。1941年から1944年にかけては、真珠湾攻撃後、アメリカ軍が太平洋戦域に参戦し、防空施設、特に台湾総督府の重要な建設が進められました。

基隆港西岸は第二次世界大戦末期に激しい空襲を受けた地域

基隆港は重要な軍事港であり、日本人が居住する主要な都市であったため、第二次世界大戦中に重点的に爆撃された都市の一つです。アメリカ軍の台湾内部報告書「FORMOSA INTERIM REPORT」には、基隆港の重要な軍事施設や日本人居住区が示されており、その範囲には西岸の牛稠港、西岸の埠頭、東岸の埠頭、東岸および和平島の漁港や造船所などが含まれています。

基隆全域は戦争期間中に50回以上の空襲を受けました。基隆が初めてアメリカ軍による爆撃を受けたのは1944年10月12日で、アメリカ軍の「バンカー・ヒル」航空母艦から発進した7機のF6F型艦載機によるものでした。1945年6月16日から6月19日までの4日間の「基隆大空襲」では、基隆港を中心に港とその関連施設に対する大規模な連続爆撃が行われました

台湾内部報告書によると、基隆の主要攻撃区域は7か所あり、そのうち5か所は西岸、2か所は東岸に位置しています。西岸の5つの攻撃区域は主に埠頭、鉄道、倉庫など港湾運営に関連する施設です。

山城に沿った基隆の防空壕の特徴

山城と海港（95%が山地）という特殊な地理条件により、基隆は台湾の他の都市とは異なり、多くの防空壕が山に沿って掘られました。これにより、戦争の影響を受けにくく、また時代の変化による改築や消失も少なくなっています。そのため、基隆市内には現在でも非常に高い密度で防空壕が存在しています。

基隆の特殊な歴史的資産

基隆市年鑑（1970年）の記録によれば、基隆市内の公私（専）用の防空壕はほとんどが第二次世界大戦末期に避難の必要に応じて掘削されたものです。戦後初期には管理が不十分で、多くは荒廃し、建物も老朽化して、耐久性や排水通路の改善が求められました

1955年には、前民防司令部と省建設庁が調査を行い、条件を満たし続けることができるものを除いて、風化がひどく避難に適さないものは85か所が一時的に封鎖され、洞口に停止標識が設置されました。1956年には省政府からの補助金で13か所の防空壕が整備・拡張され、新たに2か所が建設されました。1962年にはさらに25か所の防空壕が増設・整備され、1965年には避難設備代金を利用して4か所の防空壕が整備されました

防空壕は動員戡乱時期の終了後には特に積極的に使用されることはなく、現在では一部が通路や私人の営業、物品の保管として使用されているほか、多くは使用計画がなく、管理が行き届いていないため、セキュリティ上の理由から柵で囲まれて立ち入りが禁止されています。